Tohoku

Minami-sanriku, Story from the Forest (In progress)

南三陸を山から語る

南三陸町は分水嶺に囲まれた町。この町に降った雨や雪はほぼすべてが志津川湾に注ぐ。海は山からの恵みで育まれ、山は海からのヤマセで育まれる。この地に住まう人は、昔からこの自然とともに生きてきた。

あの津波を越えるエネルギーも、そんな暮らしで育まれた「しなやか」な強さだと感じる。ある日、町の若者たちと防潮堤建設現場に立った。すると一人が大声で「いい眺め!」と叫ぶと全員が斜面を駆け上がり、その高さからの眺めを確かめ、この眺めを活かした施設について語り始めた。すべてを前向きに受け入れるエネルギーこそ、山や海からの恵みであると感じる。

町は再生の道を歩んでいるが、山に入ると別の時間が流れる。人の命をはるかに越える時空を生きる木々が、町の基盤を支えるごとくそびえ立つ。この地は伊達政宗に見出された林業地であり、特有の気候が少し赤みを帯び身が詰まった背の高い木を育む。いま世界基準の森林認証FSCを取得し、様々な製品を造り出す産業を興そうと動き始めている。

薪炭林、茅場、そして林業。人が山を畑にした時代には、イヌワシを頂点とする豊かな生態系がここにはあった。いま、林業を強くすることが答えを導くと信じて、老若男女が世代を越えて山とともに生きる町を創造する。

僕は、この町の人たちと一緒に想いをカタチにしながら、地域の大切な資産、守りたい情景、記憶の風景を撮る。